日付のない便り

日々のとりとめのない覚書 映画や読書 そして回想

こんな映画、あんな本2

私は、若い頃から、体が丈夫とは言えず、命に関わるような大きな病気はないが、手術も含め何度かの入院を経験している。

「受け師の道 百折不撓の棋士・木村一基」樋口 薫著(東京新聞)を読む                                                             

将棋の木村一基王位の評伝である。評伝と言っても、インタビューを元にしたもので、題名ほどテンションは高くない。そもそも、木村王位にはそんなに大上段から振りかぶった物言いが似合う人物ではない。トップ棋士の一人だが、どこか飄々とした風情を持つベ…

『教師崩壊』(妹尾昌俊著 PHP新書)を読んで考えたこと

冒頭、自殺された新人の女性教諭の例をあげ、今の本では、教師の仕事は「死と隣り合わせ」で、「ティーチャーズ・クライシス」と呼ぶべき危機的状況にある。 だから、今こそ「データ」と「ファクト」で教師の問題を語るべきだというのが著者の主張である。感…

こんな映画、あんな本  ここ一週間で観たり、読んだり

別に気に入らなかったわけでも、面白くなかったわけでもないのに、ブログの記事にするタイミングを逸してしまう「こんな映画、あんな本」がある。

良きこと、悪しきこと  今日という一日      

良きことと悪しきことは、大方折り重なるようにやってくる。昔からそうだった。ただ、昔と違うのは歳を取ってからは良きことと悪しきことのサイズが釣り合わなくなったことだ。

家で、プレミアム食パン、を焼くぞ!  この程度のスタンスでも、我が家では十分プレミアムだ

コロナ時代はプレミアム食パンがトレンドなのか 以前にも記事に書いたが、巣ごもり生活が、長くなってきて、家庭でパンづくりに取り組む人が急増しているという。何しろ、小麦粉が手に入らない。パン・製菓の食材販売店は売上げが倍増したとか。 家電量販店…

『種まく旅人 みのりの茶』を観る   大分のお茶の味

ついていない一日の締めくくりは 長い長い前置き 入院した父の通帳とカードが見当たらない。てっきり、入院した際に、父が持っていった「お大事袋」に入っているとばかり思っていたが、病院で、わざわざ看護師さんに荷物を持ってきてもらって調べたが、入っ…

秋聲の鏡花追悼文   

文豪とアルケミスト 注文していた本が届いた。 marco (id:garadanikki) marukoさんに教えていただいた本だ。 garadanikki.hatenablog.com

『藤井聡太語録  言葉から紐解く若き天才の思考術』を読む 一人の天才の出現がみるみる世界を変えていくのに、間に合いそうなのは喜ばしい

AbemaTVトーナメントの興奮 ついにAbemTVの有料会員になってしまった。 現在開催中の第3回AbemaTVトーナメントが、見たいがためである。 将棋界初の団体戦、ドラフト会議、フィッシャールールを採用した超早指し戦。 ドラフト会議によるチーム編成の斬新さ…

料理本『はじめてでもおいしく作れる和食』(家の光協会)を購入したのだが、これには、ちょっとした、訳があります。

久しぶりに書店に足を運んだ。文庫本の小説を4冊、コンピュータの本1冊、パン作りの本1冊、料理本1冊、美術関係の本1冊。散財だが、まだ続くであろう巣ごもり生活の準備のためには仕方がない。 店に長居は迷惑なので、買い物は30分以内と決めていたのだ…

「人間の究極の幸せは、人に愛されること、人にほめられること、人の役に立つこと、人から必要とされること、の四つ」 『虹色のチョーク』(小松成美著)の行方

ご記憶の方も多いことだろう。ベストセラー『日本でいちばん大切にしたい会社』(坂本光司著)で紹介された日本理化学工業の敷地内にある「働く幸せの像」に刻まれた同社の会長大山泰弘の言葉の一部である。 正確には 働く幸せ 導師は人間の究極の幸せは、人…

眠れないので、短編小説を読んでいたら、三つ目で眠くなった。 井伏鱒二『へんろう宿』太宰治『富嶽百景』坂口安吾『波子』を読む

私は、軽い睡眠障害があって、それにも増して、右膝の状態が悪く、床についても簡単には眠れない。昨晩はそれが酷かった。そこで、モゾモゾ、起き出してポプラ社の分厚いアンソロジー『百年小説』を引っ張り出した。

徳田秋聲覚書 『和解』を読む  私小説の悦楽

私は事態の容易でないことを感じた。T―自身にもだが、T―の兄のK―氏に対する責任が考へられた。たとひ其れが不断何んなに仲のわるい友達同志であるにしても、T―の唯一の肉身であるK―氏の耳へ入れない訳にいかなかつた。T―は兼々この兄に何かの助力を乞…

『悔しがる力 弟子・藤井聡太の思考法』(杉本昌隆著 PHP研究所) 将棋の本はなぜかおもしろい!

2019年3月、私は名人戦の順位戦でC級1組からB級2組に昇級を果たしました。五十歳での昇級は「奇跡」と呼ばれ、注目を集めました。 「私」というのは、17歳の天才棋士、藤井聡太七段の師匠である杉本昌隆八段。 その原動力となったのは、弟子の藤井聡太七…

「世紀の小説『レ・ミゼラブル』の誕生」(デイヴィッド・ベロス著 立石光子訳)を読む   小説の「伝記」? 読み応え十分の力作!  

本書は『レ・ミゼラブル』という「小説」の「評伝」である。一編の小説の評伝というのはあまり聞いたことがないが確かにそうなのだ。部分的には、作品自体の文学評論でもあるし、ヴィクトル・ユゴーの評伝でもあるのだが、全体を通してみれば内容はあくまで…

ここ一週間に読んだ本・読み通せなかった本 「僕が殺した人と僕を殺した人」東山彰良(文藝春秋)「高峰秀子 解体新書」斎藤明美著 (PHP研究所)「逆さに吊るされた男」田口ランディ(河出書房新社」

私は仕事を引退しているので、まあ隠居といってよいのだが、主夫の仕事はしなくてはならず、毎日が日曜日というわけにはいかない。平日の午前中は買い物や父の昼飯の用意、午後は洗濯物を入れたり、夕飯の支度をしたりとなかなか忙しい。なんといっても手際…

先崎学「うつ病九段 プロ棋士が将棋を失くした一年間」(文藝春秋社)を読む   こんなに近くにうつ病があった!

闘病記である。私が、滅多に読まないジャンルの本だ。だが、あの「天才先崎」がうつ病?棋界きっての文才を誇る先崎学がうつ病になったのか。本屋の店先で思わず手に取った。10ページほど読んで、すぐにレジに向かった。多才な棋士である先崎学に何が起こ…

山本周五郎「五辯の椿」を読む  復讐劇の仕掛けは…… 

何十年ぶりかの再読である。根気がなくなっている昨今には珍しく、一気に読んだ。若い女の復讐劇。母「おその」とその愛人を焼き殺し、母の遊び相手だった男たちを色仕掛けで惑わせ、次々にかんざしで刺し殺していく。よくよく考えれば、ヒロイン「おしの」…

西村寿行「滅びの笛」を読む  ネズミのパニックの話だが、別の話に思えてきて……

この作者の作品は、一時期続けざまに読んだ記憶があるから、この作品も読んでいるはずだが、うっすらとしか覚えていなかったので新鮮に読めた。中部山岳地帯で大量発生した鼠群と人間との闘いを描いたパニック小説。刊行が1976年。この頃、「タワーリング・…

小野寺史宜「ひと」(祥伝社)を読む  スラスラ読めるのだが……

初めての作家。つい手にとったのは、本の帯につられて。 「本の雑誌が選ぶ2018年度エンターテイメントベスト10 第2位」 「心洗われる、本物の感動で重版続々!!」 「おお、どうしてこんなところで涙があふれてくるのだろう」 ひと 作者: 小野寺史宜 出版社/…

加地伸行「マスコミ偽善者列伝 建て前を言いつのる人々」(飛鳥新社)を読む   バッサバッサと切れ味鋭く……

こういう斬られ方をすると、当事者は心身ともにかなりこたえるだろうな、と読みながらなんども思った。 著者は、大阪大名誉教授、加地伸行(82歳)。本書は産経新聞連載のコラム「古典個展(こてんこてん)」等をまとめたものである。著者の専門は中国古典…

森敦「月山」を読む つまらなくはないが、ではどこが良いのかといわれると……

私が大学生の頃、芥川賞を受賞した作品で、著者の森敦は六十二歳だったので、遅咲きの作家の受賞ということで当時随分話題になったのを覚えている。友人が購入したものを借りたのだが、結局読まずに返してしまった。 今回、この小説を読んだのは個人的な事情…

山本周五郎の短編を読んで、なるほどそうなのかと思ったこと

文春文庫から沢木耕太郎編の山本周五郎の短編集シリーズが4冊出ている。山本周五郎というと新潮社というイメージがあるが、多分著作権が切れた関係なのか、各社から選集だの、文庫本などが刊行されはじめている。 長編全集は何年か前に刊行されたものを持っ…

山里亮太「天才はあきらめた」(朝日文庫)を読む  「熱く」て「暑苦しい」のだけれど……

文庫の帯に「あの実力があって慕われていないとなると、よっぽど人望がないのだろう」(若林正恭)とある。ずいぶん刺激的な惹句に、ついつい手にとった。お笑いは嫌いではないが、芸人やタレントの本を読みことはほとんどない。だが、手に取ると朝日文庫だ…

とりとめのない名前の話など

最近、またポツポツと田宮虎彦を読み返しているのだが、『比叡おろし』という哀切な短編小説を読んでいて、ふと記憶を呼び覚まされる一節があった。それは、全く個人的な記憶であって、作品の中身とも作者の田宮虎彦とも全く関連がない。 主人公の苦学生が、…

一気に読んだのは読んだのだが 彩瀬まる「あのひとは蜘蛛を潰せない」(新潮文庫)を読む 

題名に惹かれて読み始めた。 主人公の梨枝は28歳の独身女性。ドラッグストアの店長で、両親は幼い頃に離婚したため母と二人暮らし。地味で、真面目で、ある意味世間知らずで、男性経験もないし、恋人もいない。その梨枝に年下の恋人ができて、紆余曲折を経…

図書館の憂鬱        

久しぶりに、区立の中央図書館に行った。バスか電車を使えば30分ぐらいだが、それでも実際に出かけるとなると億劫で、早々頻繁には通えない。歩いて5分ぐらいのところに地域の図書館があるから、普段はそこを利用しているし、区内の図書館の蔵書はネット…

貧困の基準  鈴木大介「最貧困女子」(幻冬舎新書)を読む

先週、テレビドラマ「CRISIS 公安機動捜査隊特捜班 」を見ていて、強烈な違和感を覚えたシーンがあった。捜査官が若いテロリストに聴取する場面だ。その青年(いや、少年か)、取り調べをする捜査官に年収を問いただす。捜査官は手取りで700万円ぐらいと…

「百年小説」(ポプラ社)を手に入れた アンソロジーは楽しい!

この本、なにしろ、厚い。1333ページ。見た目は広辞苑というところか。日本の短編小説のアンソロジーなのだが、これほどのボリュームのものはこれだけだろう。とはいっても、作品数はそう多いわけではない。贅沢な作りなのだ。ネットオークションで手に入れ…

私の積ん読状況  「積ん読」にも、一応言い訳がある

連休が終わって、だいぶ経つが、やっぱりというか、予想通りというか、連休中に読もうと、文字通り、積んであった本は、それほど高さも変わらずあちこちに積まれたままである。 ベッドの脇には、高価なのに思い切って買った「竹山道雄セレクション」の第4巻…