日付のない便り

日々のとりとめのない覚書 映画や読書 そして回想

新型コロナウイルスによって、突然暇ができた高校生の息子のための映画案内 洋画篇1〜20

 息子は高校三年生。毎日、家でそこそこの勉強はしているようだが、若者の1日は長い。最近、私が動画配信に加入してから、勉強の合間に、自分でも、利用しているらしい(息子独自のアカウントは設定してある)。

 この前、洋画はやっぱり字幕で見るのがいいみたい、とポツッと言い出した。

「ねえ、どんな映画みるといいんだろう」

「うん?どういう意味?」

 息子は最近は、自分で選んでけっこう映画館に行っているみたいだから、何を言っているのかよくわからなかった。

 「うん、アニメとかスター・ウォーズとか、日本映画でも友達に誘われたりして観るけど、他にどんな映画を観たらよいか自分ではよくわからない」

「何観てもいいんじゃないの」

「それは、そうだけど……」

なるほど。わからないでもない。

 

 そこで、暇な老人である父親は、息子用の映画案内を作成することを決意した(ま、決意するほどのこともないのだが)。

 

 選定にあたっては、どんな案内やランキングにも左右される必要がないので、思いっきり私的な基準を設けることにした。

1 今すぐ、見ることができるものを

 基本的に家にあるもの(私は暇にあかして、BSやCSの映画を録画している。セルDVDも含めるとかなりの本数がある)、または、加入している動画配信サービスで見ることができるもの。

2 とにかく、おもしろいものを、夢中になれるものを

 優れた映画でも、娯楽性が保証されていないものは選ばない。難解な芸術映画より、B級の掘り出し物の方が、今の年齢ではよいのではないか。とにかく、自分が見て、面白かった映画、感動した映画を選ぶ。…

3 原則として、アニメやシリーズ物は入れない

  例えば、ハリーポッターやアメコミのシリーズ物は入れない。ま、例外も出てくる可能性があるが。   

4 選定の理由は簡潔に

 とりあえず、3~4行以内に限定。くだくだ書いても、読んでもらえない可能性が高いので。

5 ランキングではない

    いわゆる名作のランキングではない。ランキングをつけられるほど、私は多くの映画を見ているわけではない。強いていえば、ぜひ、見て欲しい、あるいは自分がもう一度見たい映画を並べただけであって、厳密に検討したわけではない。つまり、結構いい加減な順番ということである。

※取り上げた映画は、私のこれまでの記事と重なるものが多い。引き出しが少ないから当然そういうことになる。ご勘弁を!

 

I  洋画、初めの10本

 

1 ウエストサイド物語(1961年 アメリカ)

監督:ロバート・ワイズ、ジェローム・ロビンズ

 ナタリー・ウッド、リチャード・ベイマー、ジョージ・チャキリス、リタ・モレノ

ラス・タンブリン

 初めて見たロードーショー映画。日比谷スカラ座。映画館の豪華さにも、映画にも圧倒された。ミュージカルは決して得意ではないが、「アメリカ」や「マリア」が流れてくると今もドキドキする。ナタリー・ウッドが初々しかった。

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2 恐怖の報酬(1953年 フランス) 監督:アンリ=ジョルジュ・クルーゾー

イヴ・モンタン シャルル・ヴァネル ヴェラ・クルーゾー

 中学校の時に、テレビの日曜洋画劇場で見た。変な題だなと思ったが、見終わった時には、その濃厚なサスペンスとあまりに皮肉な結末に呆然とした記憶がある。

ちなみにマリオとルイージは、この映画に由来があるという説があるのだが。

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3 プレイス・イン・ザ・ハート(1984年 アメリカ)監督:ロバート・ベントン

サリー・フィールド、ダニー・グローバー、ジョン・マルコヴィッチ、エド・ハリス

 感動しながらも深く考えさせられる映画。家族、夫婦、女性の自立、因習との戦い、人種差別、障害者差別。ひたむきに生きるヒロインを取り囲む環境は厳しい。その結末は甘いと捉える人もいるだろうが、そこに込められた願いは今も切実なものだ。サリー・フィールドが素晴らしい。

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4 奇跡の人(1962年 アメリカ)監督:アーサー・ペン

アン・バンクロフト、パティ・デューク

 あまりに有名なヘレン・ケラーの伝記映画。家庭教師サリヴァンと三重苦の少女ヘレンの延々と続くぶつかり合いは、究極のサスペンス。この映画を見ていて、思わず息を呑む、という表現を実感できた。

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5 バベットの晩餐会(1989年 デンマーク)監督:ガブリエル・アクセル

ステファーヌ・オードラン、ボディル・キュア

 今もって、最高のグルメ映画にして、秀逸な人生劇。美しい色彩、伏線に富んだストーリーとともに、次々に出てくる、豪華な料理に思わず目を奪われる。なんとも複雑な、奥深い味わいの映画。

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6  わが谷は緑なりき(1941年 アメリカ)監督:ジョン・フォード

 モーリン・オハラ、ウォルター・ビジョン、ロディ・マクドウォール

 『駅馬車』『荒野の決闘』のジョン・フォード監督の傑作。ウェルーズの炭鉱町を舞台に、時代に翻弄されながらも、懸命に、気高く生きる家族の姿を、詩情豊かにえがい描いている。詩情豊か、とは随分月並みだが、この映画にはまさにぴったり。

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7 十二人の怒れる男 (1959年 アメリカ)監督:シドニー・ルメット

ヘンリー・フォンダ、リー・J・コップ

 密室劇の名作。見ているうちに、十二人の個性を生かしながら、伏線の効いた傑出した脚本で、とにかくよくできている。三谷幸喜の、「十二人の優しい日本人」はこの映画を下敷きにし、パロディ化した傑作喜劇。

 

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8 ショーシャンクの空に(1993年 アメリカ)監督:フランク・ダラポン

ティム・ロビンズ、モーガン・フリーマン

 スティーブン・キングの中編『刑務所のリタ・ヘイワーズ』が原作。無実の罪で収監された主人公と囚人仲間の勇気と希望の物語。刑務所の中のエピソードや描写が、丹念に描かれていく。後味の良さは、いかにもアメリカ映画。

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9 野のユリ(1963年 アメリカ) 監督:ラルフ・ネルソン

シドニー・ポアチエ、リリア・ヘルマン

 映画のポワチエは、軽躁だが人のよい青年をのびのびと演じている。この映画を見ると、劇中のゴスペルソング「エイメン」がしばらく耳を離れない。人種差別も宗教もあまり関係なく、人の善意が心地よく伝わってくる秀作。

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10 失われたものの伝説(1957年 アメリカ)監督:ヘンリー・ハサウェイ

ジョン・ウェイン、ソフィア・ローレン、ロッサノ・プラッティ

 サハラ砂漠を舞台に伝説の古代都市とそこに眠る財宝をめぐるの愛と欲望のドラマ。ジョン・ウェインの映画を一本選びたいと思ったら、この作品になった。ジョン・ウェインは、どんなところにいてもジョン・ウェイン。

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II  洋画、おかわり!次の十本

 

11 さらば、わが愛/覇王別姫(1993年 香港・中国)。監督:チャン・カイコー

レスリー・チャン、チャン・フォンイー、コン・リー

 京劇を舞台にした、なんとも華麗で、哀切極まりない愛憎劇にして、歴史劇。文化大革命を背景に、今も続く中国の悲劇が、骨太に描かれかている。レスリー・チャンの美しさには、思わず目を奪われる。

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12 サブウェイ・パニック(1974年 アメリカ)監督:ジョゼフ・サージェント

ウォルター・マッソー、ロバート・ショー、マーティン・バルサム

 変な題名だが、この頃パニック映画が流行っていたのこうなったらしい。この映画は日劇の地下にあった丸の内東宝で見た。大して期待しないで見始めたのだが、どんどん引き込まれた。意表をつく設定や巧みなストーリーに、ウォルター・マッソーの洒脱な味わいが、加わって忘れ難いサスペンス映画の秀作。

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13 死刑台のエレベーター(1958年 フランス)監督:ルイ・マル

 モーリス・ロネ、」ジャンヌ・モロー、

 設定自体が究極のサスペンス。それを、最大限にスタイリッシュに料理してある。この時、ルイ・マルは25歳。なんとも高い完成度に今見ても驚く。まさに、洗練、という言葉が似合う映画。『いつか読書する日』の緒方明監督、阿部寛、吉瀬美智子、北川景子でリメークされている。どう見ても、無理だろうと思ったが、これはこれで見事な映画になった。

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14   渚にて(1959年 アメリカ)監督:スタンリー・クレーマー

グレゴリー・ペック、エヴァ・ガードナー、フレッド・アステア、アンソニー・パーキンス、

 題名から、人類の滅亡をテーマにしたSF映画だとは想像しにくい。滅亡を、死を目前にして人はどう生きるか。この映画が、今も色あせないのは、この普遍的な問いに、真剣に向き合っているからだろう。静かな、美しい映画。

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15 セント・オブ・ウーマン 夢の香り(1992年 アメリカ)

監督:マーティン・ブレスト

アル・パチーノ、クリス・オドネル、ガヴリエル・アンウォー

 全盲で気難しい退役軍人のアル・パチーノと道案内役を頼まれた青年(クリス・オドネル)のロード・ムービー。癖のある老人を演じたアル・パチーノが素晴らしい。印象的なシーンも多い映画。アル・パチーノとガヴリエル・アンウォーのダンスシーンは夢のように美しく、最後の演説シーンはあまりに感動的だ。

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16 俺たちに明日はない(1968年 アメリカ)監督:アーサー・ペン

フェイ・ダナウェイ、ウォーレン・ベイテイ、ジーン・ハックマン、マイケル・j・ポラード、エステル・パーソンズ

 実在の銀行強盗、ポニーとクライドの物語。高校生の時に見たが、この破滅に向かう物語をどう受け取って良いかわからず、戸惑った。しかし、磁力の強い俳優たちの強烈な個性と演技に引きづられていくうちに、忘れられない映画になった。

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17 レオン(1994年 フランス・アメリカ)監督:リュック・ベッソン

ジャン・レノ、ナタリー・ポートマン、ゲイリー・オールドマン

 正確無比なプロの殺し屋だが、世間知らずで純情可憐な男レオン、まとわりつく不幸を打ち払うように健気に生きる少女マチルダ、冷酷無情で手段を選ばない捜査官スタン。リュック・ベッソンの映画の登場人物のなんと鮮烈なことか。プロの殺し屋のレオンが牛乳好きだったり、スタンがクラシック愛好家だったり、細部まで、キャラクターが彫り込まれている。アクションも秀逸。

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18 マッド・マックス2(1981年 オーストラリア)監督:ジョージ・ミラー

 メル・ギブソン、ブルース・スペンス

 世界大戦により荒廃した近未来を描いたバイオレンス映画。石油を巡るいさかい、モヒカン刈りの暴走族、暴力だけが支配する過酷な世界は、眩暈を覚えるような独特の世界観によって、見るものを圧倒する。「北斗の拳」はこの映画の影響下にあるが、遠く及ばない。シリーズ物だが、例外として。

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19   追憶(1974年 アメリカ)監督:シドニー・ポラック

バーブラ・ストレイサイド、ロバート・レッドフォード

 個人的には、最も好きな映画。左翼思想を信奉する理想家のケイティと政治に囚われず自由を大切にするハベルの二人が、大学時代から、第二次大戦を経て結ばれ、やがてハリウッドの赤狩りを背景にして別れるまでが描かれる。最初はやけに鼻が高い、野暮で鬱陶しいバーブラ・ストレイサイドが、どんどん美しく、愛しい存在になっていく。何度見ても、それが魔法のように変わらない。印象的なシーンが本当に多い映画で、音楽に疎い私でも、この映画の主題歌を聞くだけで、この歳になっても胸がうずく思いがする。

追憶 (字幕版)

 

20 スラムドッグ$ミリオネア(2009年 イギリス)監督:ダニー・ボイル

デーヴ・パテル、マドル・ミッタル、フリーダ・ピント

 インドを舞台に、テレビのクイズ番組に出演して注目を集めた少年の壮絶な生い立ちと運命の物語。脚本が実によくできていて、各エピソードが関連しあって重層的に綴られていく。何か、沸き立つような生命力を感じさせる映画。

スラムドッグ$ミリオネア (吹替版)

 

この項、続く。

 

 

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