Ⅲ 洋画 おかわり、2杯目! 洋画篇21〜30
この映画案内、何本選ぶのかということになるが、これは今のところ、48本の予定である。理由は、息子には、最終的に選んだ作品のメディアをケースに入れ渡すつもりなのだが、これが最大48枚収納なので、48本ということになる。
まあ、いい加減のようだが、私にとっては、これはこれで、合理的なのである。
では、おかわり2杯目をどうぞ!
21 リバティ・バランスを射った男(1962年 アメリカ)
監督:ジョン・フォード
ジョン・ウェイン、ジェームス・スチュアート、リー・マーヴィン
西部劇から選びたいと思って、最初に思いついたのがこの映画。荒々しいが心優しきタフガイ、正義感はあるがひ弱な優男、見るからにしたたかな掛け値なしの悪人。この三人の男優のコントラストが絶妙で、昔、夢中になってみた記憶がある。ジョン・フォードとジョン・ウェインの組み合わせは、私にとっては鉄板。
22 鳥(1963年 アメリカ)監督:アルフレッド ・ヒッチコック
ティッピー・ヘドレン、ロッド・テイラー、スザンヌ・プレシェッド
初めて見たヒッチコック映画。最初はテレビで見たのだが、鳥が人間を襲うという単純な設定が、なんでこれほど怖いのが不思議で仕方がなかった。体の中が波立つような恐怖、理不尽な納得のいかない恐怖が感覚的にいつまでも残る感じがする。その恐怖、ヒッチコックでは「サイコ」と双璧か。
23 グロリア(1980年 アメリカ)監督:ジョン・カサヴェテス
ジーナ・ローランズ、ジュリー・カーメン
マフィアに関係する中年女グロリアが、行きがかり上、預かることになった少年を守るためにマフィアの組織に敢然と立ち向かうハードボイルド・アクション。アメリカ版子連れ狼というところか。とにかく、銃を乱射するジーナ・ローランズが痺れるほどにかっこいい(今時、痺れるは死語か)。
24 カサブランカ(1942年 アメリカ)監督:マイケル・カーティス
ハンフリー・ボガード、イングリット・バーグマン
「君の瞳で乾杯」とは、なんともキザなのだが、映画を見ているときには違和感がないから不思議だ。当時を考えれば、戦意高揚映画なのだろうが、そんな枠には収まらない魅力に満ちた映画。イングリット・バーグマンが美しい。
25 ビッグ(1988年 アメリカ)監督:ペニー・マーシャル
トム・ハンクス、エリザベス・パーキンス
若い頃のトム・ハンクスは実に軽やかだ(いや、見方によっては、軽佻浮薄ともいえる)。その軽やかさが、このよくできたファンタジーに見事にハマっている。若きトム・ハンクスはサリー・フィールドと共演した「パンチライン」も捨てがたい。
26 アマデウス(1984年 アメリカ)監督:ミロス・フォアマン
トム・ハルス、F・マーリー・エイブラハム
初めて来たとき、奇矯な声を上げる、トム・ハルスのモーツァルトには、度肝を抜かれた。しかし、サリエリの凡庸ゆえの苦悩、モーツァルトの天才ゆえの孤独が重厚なドラマとして描かれていくこの映画は、十分に魅力的だ。
27 愛すれど心さびしく(1968年 アメリカ)監督:ロバート・エリス・ミラー
アラン・アーキン、ソンドラ・ロック
原作はアメリカの閨秀作家カーソン・マッカラーズの早熟の傑作「心は孤独な狩人」。大学生の時に読んで、どこか既視感を感じて、読み終わってから、そうか、高校の時に、京成名画座で見たあの映画はこれか、と気づいた。アラン・アーキンの静謐とソンドラ・ロックの哀しいほど初々しさが記憶に深く残った。
28 白熱(1949年 アメリカ)監督:ラオール・ウオルシュ
ジェームス・キャグニー、バージニア・メイヨー
中学生の頃、テレビで見る洋画は、私にとっては大きな娯楽だったが、キャグニーは特にお気に入りの俳優だった。小柄で、跳ねるようなキビキビした、エネルギッシュな動きは、大柄でモサッとした私には、望むべくもない憧れであった。狂気を孕んだこの映画のキャグニーも、訳もわからぬままに、私には十二分に魅力的だった。
29 大脱走(1963年 アメリカ)監督:ジョン・スタージェス
スティーブ・マックイーン、チャールズ・ブロンソン、ジェームス・コバーン
オールスターキャストの戦争ドラマ。オールスターといっても、スティーブ・マックイーンの軽やかで、洗練されたスポーティな動きは圧倒的だ。ストーリーはよく練れていて、印象的なエピソードと俳優の個性を生かしたキャスティングが光っている。
30 グレン・ミラー物語(1954年 アメリカ)監督:アンソニー・マン
ジェームズ・スチュアート、ジューン・アリソン
私は音楽には、まったく無縁の生活を送っているが、この優れた音楽映画の記憶は鮮明で、「茶色の小瓶」や「セントルイス・ブルース」が流れたりすると、映画の場面が浮かんできたりする。この映画を見た時、ジェームズ・スチュアートはアメリカという国の良い部分の代表選手のように思えた。
この項、続く。