日付のない便り

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『きらきら眼鏡』  どうにも、中途半端で……

 見るものすべてを輝かせる眼鏡。それが「きらきら眼鏡」だという。もう若くもないごく平凡な女に、わたしはいつも「きらきら眼鏡」をかけている、と言わせるには、よほどの説得力が必要だろう。私のお気に入りの女優、屈指の演技派、池脇千鶴が演じたのだが、さて、どうだったろうか。

 

きらきら眼鏡

きらきら眼鏡

  • 発売日: 2019/06/04
  • メディア: Prime Video
 

 

  主人公は、立花明海(金井浩人)、25歳。駅員として日々淡々と仕事をこなし、空いた時間には静かに本を読んでいる内向的な青年だ。かつて恋人と死別し、同僚とも学生時代の友人とも深く関わる事を避けてひっそりと暮らしている。

 ある日、古書店で見つけた本「死を輝かせる生き方」をきっかけに大滝あかね(池脇千鶴)という女性に出会う。いつも笑顔が絶えず、誰にでも親切なあかねに、明海は、心惹かれていく。

 だが、あかねもガンで余命宣告された恋人を抱えており、戸惑いと苦悩の中で必死に生きていた。

 

 こういうふうにシチュエーションやストーリーを記していくと、感動いっぱいの映画のように思えるだろうが、途中から、なんとも違和感が募ってきてイライラしてきた。

 あかねは、誰にでも親切で、明るく笑顔が絶えない。ならば、天真爛漫で童女か天使のような女かといえば、そこまでは振り切れていない。この物語が、いっそファンタジーのように語られるか、或いは逆にドキュメンタリーのようなタッチで進められるなら、際立つのかもしれないが、この映画では笑顔がどこか痛々しく見えてくる。

 ある程度の年齢を重ねた女が、恋人に「感動の天才」などと呼ばれることがしっくりいかない。明海があかねに惹かれていくのは、わからないでもないが、あかねが明海に、どのような興味を持って、どこへ進もうとしているのかはよくわからない。まして、死の床にいる恋人に、明海との付き合いを、どうやら包み隠さず話しているらしく、ぜひ会いたいという恋人の病床に明海を連れてくるあたりの心理も、見ていてストンと落ちない。

 あかねの純粋さか、諦念も加わっているのか、それとも現実からの逃避、あるいは打算?

 どのエピソードを見ても、どの場面を見ていても、曖昧で、中途半端で、私には、うまく伝わってこない。

 さすがに手だれの池脇千鶴でも、この役は厄介に思える。

  大仰な言い方だが、そもそも、「きらきら眼鏡」を外して、なおも輝くものを求めてひたすらあがくのが、人生ではないか。その輝きが、どんなにくすんだものであっても。

  犬童一利 監督 2018年

 

※ あまりにそれらしいので、ネットで調べてみたが、犬童一利監督は、犬童一心監督とは親族ではないらしい。

 

kssa8008.hatenablog.com

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