日付のない便り

日々のとりとめのない覚書 映画や読書 そして回想

『博奕打ち 一匹竜』   鶴田浩二の任侠映画を見てみたが……

 『仁義なき戦い』はリアルタイムで見ているが、高倉健の『網走番外地』や『日本侠客伝』は劇場で見ていない。鶴田浩二となると、ほとんど見た記憶がない。

 新しく入った動画配信サービスには、けっこう東映の作品がラインアップされていて、この博奕打ちシリーズが入っていたので、なんとなく食指が動いた。

 

博奕打ち 一匹竜 [DVD]

 

  なぜか第1作の『博奕打ち』は配信されていないので、2作目『博奕打ち 一匹竜』を見ることにした。

 時代は大正初期。主人公相生宇之吉は彫師。

 映画は、苦界に落ちた師匠の娘を救い出し、零落した師匠に今一度立ち直ってもらおうと奮闘する宇之吉を描いており、いわゆる義理と人情と意地の世界が描かれる。

 クライマックスは刺青比べ(映画の中では、ガマン大会と呼んでいた)。英国の王室から内々に刺青の依頼があり、日本一の刺青師を人選すべく盛大な刺青大会が開催される。五十人以上が並んで、様々な刺青を披露し、優劣を争うというもの。これがなかなかの迫力なのだが、今では、これだけ刺青を並べた映画は、いろんな意味で作れないだろう。

 

 映画は鶴田浩二の一人舞台だ。セリフがつややかで歯切れがいい。きれいな顔をした二枚目なのだ。高倉健や菅原文太と決定的に違うのは、ラブシーンも濡れ場も自然とこなせることだろう。殺陣もセリフも、実にかっこいい。だが、いわば、決まった形の中でのかっこよさで、一定の枠をはみでることがない。

 宇之吉が繰り出す「義理と人情」の論理は、聞いていて随分都合の良い、場合によっては手前勝手な感じがするものも多い。相手は確かに悪辣だが、かといって、宇之吉の方が筋が通っているとも言い難いものが多い。どっちもどっち、という感じがする場合もあって、丸ごと共感はできない。それでも、見ていてある種の満足感を得ることができるのは、鶴田浩二の独特のオーラというか、存在感のおかげだろう。

 共演は松尾嘉代、待田京介、中村竹弥、木村俊恵、天津敏、丹波哲郎、藤山寛美、遠藤辰雄、松尾嘉代、河野秋武、小松方正、山城新伍など。

 

1967年 小沢茂弘監督

 

博奕打ち 不死身の勝負 [DVD]

 

  『博奕打ち 不死身の勝負』 1967年 小沢茂弘監督

 シリーズ3作目。舞台を九州の炭鉱に移し、鶴田浩二は爆弾常と異名を取る暴れ者。筑豊弁で啖呵を切る鶴田浩二も悪くはないが、爆弾常というような無法者には見えない。 

 たうさぎ博打という、サイコロ賭博のシーンは独特の緊張感があって、見応えがる。坊主頭の石山健二郎が若山富三郎とともに、準主役で存在感を出している。また、木暮実千代が、きっぷのいい女社長で貫禄を示している。他に、前作からの引き続いて、待田京介、藤山寛美等。