日付のない便り

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「オケ老人」を観る  ホッコリした映画  コロナの時代に

我が家の事情

 月曜日の夜に、動画配信サービスを使って、家内と二人で見た。

 同居している95歳の父がここ数日具合が悪く、日曜日の夕方に苦しみはじめた。かかりつけの病院に連絡したら、救急車を呼んですぐに来て下さいとのこと。救急車に運ばれて、結局、入院。

 

 

 父はこれまでに肺気腫や肺気胸で入退院を繰り返している。在宅酸素を利用して、なんとか家での生活を維持しているのだが、今回は、下痢が続いていて、息が苦しいだけではなく、お腹も痛いという。熱はないから、コロナはまずないと思うが、歳も歳なので、何が起こっても不思議はない。

 家内も私も顔をこわばらせて、病院のロビーで待機していたが、今回は腸炎だという。腸炎を起こして、お腹がパンパンに張っている。その結果、肺が圧迫されて息が苦しくなっているとこと。肺は、気胸もないし、肺炎も起こしていないとの説明。

 とりあえず、ホッとしてよいのか、どうなのか。

 困ったな、と思うのは、コロナの影響で面会が全くできない。歳の割には、頭ははっきりしているのだが、面会ができないと急に衰えるのではないか、と心配になってくる。亡くなった母が、晩年、認知症で随分切ない思いをさせられたので、身体以上に心配になってくる。

 私も持病を抱える65歳。老老介護と行っていいのだ。心配事は尽きない。

 荷物を取りに、一旦、家に戻った家内が息子を連れてきた。彼は、今、最も不幸な学年、高校三年生だ。休校の学校が始まりそうなのだが、先の見えない大学受験を控えて、最近、イライラすることが多い。1日、部屋にこもって、勉強らしきもをしているようだ。父の入院には、慣れっこになっているが、それでも、こうやって心配してくるのだから、まずはよしとしよう。

 この日は、家内も在宅勤務ということで、疲れが少ないのかゆったりしていた。それなりに手間のかかる父の世話もない。息子は、2階に上がって再開する学校の準備に追われている。ということで、久しぶりに二人だけでテレビの前に座った。

 

 (前置きがダラダラと長くなったが)ということで『オケ老人』。

 上品なコメディで、見ていてほんわかした気持ちになった。すごく感動的だとか、傑作だという訳ではないが、落ち着かない夜に、家内と二人で観るには、こういう映画はいいなと思った。

 勘違いから、老人だけで編成されているポンコツオーケストラに入団して、ひょんなことから、指揮をまかされた若い女性の奮闘記。

 ヒロインの杏がいい。歯切れのいい台詞。豊かな表情。そして、何よりも、嫌味なところが全然ないこと。この人が持っている性格の良さ、のようなものが伝わってきて、見ていて楽しい女優さんだ。体の大きさも含めてコメディアンヌとしての条件はいい。  

 この人、出演者の誰よりもサイズが大きい。彼女と話す時は、みんなが見上げるようにして話す。指揮者の杏を囲むように、集まっている構図自体が面白い。途中、世界的な指揮者として出てくるフランス人指揮者が、「小さな巨人」という異名で、かなり小柄だという設定は面白いアイデアだ。

コロナの時代に

 老人たちのポンコツぶりも、よくある形通りだが、見ている自分も、老人になっていることを考えると、笑ったあとにちょっとドギマギする。トランペット吹きの老人が、鼻に管を通し、酸素ボンベを抱えているのを見て、父のことが頭をかすめた。笹野高史、小松政夫、左とん平、石倉三郎。藤田弓子らそれぞれが披露するポンコツぶりは、結構見え透いたものだし、大笑いできるようなものではないのだが、でも、気持ちよく笑える。今のテレビのバラエティ番組のような押し付けがましさがない。それがいい。

 そして、結末。ストーリーはまあ、ありきたりだ。悪人は誰もいなかった、という結末は甘い。だが、甘い結末が心地よい。コメディ映画であるとともに音楽映画でも、ある訳だが、私は音楽は全くダメで、その辺の良し悪しは、さっぱりわからないのだが、コンサートの場面は、わかっていても、結構ハラハラさせられ、感動させられた。

 個人的にも、社会的にも。気持ちの波立つような、落ち着かない日々がまだまだ続く。そういうときに、こういう映画に出会うと、ちょっと幸せな気分になる。

 明日は、病院に行ってみよう。会えないまでも、様子ぐらい聴けるだろう。

 

 

オケ老人!