日付のない便り

日々のとりとめのない覚書 映画や読書 そして回想

『種まく旅人 みのりの茶』を観る   大分のお茶の味

ついていない一日の締めくくりは  長い長い前置き

 入院した父の通帳とカードが見当たらない。てっきり、入院した際に、父が持っていった「お大事袋」に入っているとばかり思っていたが、病院で、わざわざ看護師さんに荷物を持ってきてもらって調べたが、入っていない(コロナの関係で面会禁止。父の病室にはいけない)。電話で、父と話したがラチが開かない。だいたいが、息が苦しくて、長くは話せない。

 

 

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 最後につかったのは三週間前。父に頼まれて私が使用した。父は、その時、いつもの場所に、私が片付けたという。私は、おろしたお金と一緒に父に渡したという記憶があるが、あやふやである。

 どうするか。お決まりの家探し。狭い家の中を夕食の支度もしないで、思いつくままに探す。鞄、ジャケット、戸棚、金庫、「いつもの場所」。うーん、ない。どんどん、気持ちが沈んでくる。やはり、どこかに落としたか。置き忘れたか。時間ばかりが過ぎていく。とりあえず、ネットで調べて、電話でカードの使用を止めた。

 家内が帰ってきて、報告。「いつもの場所」を改めて探す。あれ、奥の方に袋がへばりついている。家内がグイっと腕を伸ばす。あれっ!あれっ!。どこかで見た茶色い袋が出てきた。「あるじゃない!」

 よかった、と思いながらすぐに憂鬱になる。カード、止めなきゃよかった。本人は入院中だし、手続き面倒だろうな。

 

 ここ数年、物を探すことが日常になってきている。亡き母の認知症のことを思い出したりする。こんなこと、これから、何度も起きるんだろうなと再び気持ちが沈んでくる。

『種まく旅人 みのりの茶』

 で、今日一日の締めくくりは『種まく旅人 みのりの茶』にした。とりあえず、落ち着いた映画のようだし、何しろ大好きな田中麗奈が主演。それだけで、きっと気持ちを上げることができる。老人の思い込み、恐るべし、なんてね。

 

 ヒロインのみのり(田中麗奈)はリストラされたデザイナー。30歳を過ぎて、自らの生き方に迷い、苦しんでいる。休暇で寄った際に倒れた祖父修造(柄本明)に代わって有機栽培のお茶づくりに、一人取り組む。

 

 もう一人の主役は、農林水産省の高官ながら、身分を隠しながら、日本各地の農家の本音を聞いて回る大宮金次郎(陣内孝則)。そんな彼に大分県臼杵市役所の農政局長として、省が開発した農薬を普及させよとの辞令が下る。修造が倒れ、途方にくれるみのりに、身分を隠してお茶づくりのノウハウをサポートしていく。

 通称キンちゃん。 

 あれっ?そう、なんと、遠山の金さん、という趣向。これって、意見の別れるところだろう

 出てくる人物は、いかにも類型的だし、ヒロインが悪戦苦闘しながら、お茶づくりに目覚めていくというストーリーもありがちだが、決してお手軽な作りではない。

 後継者問題、高齢化、過疎化、嫁探し。離農。

 有機栽培の難しさ。

 近所付き合いの大切さと難しさ。決して一人ではできない農業の本質。

 農業への企業の進出。農家の抱える理想と現実の落差。

 どれをとってもそれだけでドラマが作れるような課題だが、さらっと流していて、みのりが個々の課題に思い悩むことはない。彼女の前向きの面だけが手際よく語られていく。

 市役所の農政課に勤務する木村(吉沢悠)を通して、なかなか変わらない農家・農業の現実が示されていく。俺、役所だから、が口癖だ。 

  なんだかんだと色々あるが、お茶畑でのシーンはどこも美しく、お茶の作り方まで丁寧に当たってあって、ドラマはテンポがよく、面白く見ることができる。

 でも、みていて、やっぱりある疑問から逃れられない。それは、みのりのような上手い条件の孫を持っている高齢の農家が、そうたくさんあるとは思えない。この映画、根本的に都合が良すぎる設定ではないのか、という疑問である。

 よくまとまった映画なのだが、大きな疑問である。

 農林水産省とのコラボのわりには、その辺り妙に甘い。             

 この映画、農林水産省とのコラボ企画。なんとシリーズ化されている。

 

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